住職のおはなし

Column

大切な家族を「おくる」〜ペットの葬儀と供養に対する私(住職)の想い〜

2024.11.29

私たちの生活の中で、ペットは単なる「ペット」という言葉以上の存在です。日々の生活を共にし、喜びや悲しみを共有して、まさに家族そのものです。
しかし、日本の法律ではペットは「物」として分類されており、その法律的な解釈が影響して飼い主である「人」の感情的な認識との間には大きな矛盾が存在していると感じています。
ペットが生涯を全うした時、多くの方が「火葬のみ」を選択される理由は、ペットを供養するということを知らない方が多く、また人とは違うその感覚の違いもあるかもしれません。

このコラムでは、ペット霊園の住職として、大切な家族の一員であるペットが亡くなった時にぜひ考えていただきたい「おくる」ことについて想いを綴ってまいります。

ペットと飼い主の垣根超えた、家族の一員であるということ

ペットは私たちの生活に欠かせない「ものではない“もの”を超えた存在」であると考えています。

愛するペットと共に過ごした日々を思い返すと、笑顔をもらい、悲しみを癒し、怒りを鎮める・・・・・そういった出来事が多かったのではないでしょうか?
ペットはいつの間にか家族・パートナーに昇格し、私たちと
深い絆を築き、その存在が私たちに多くのものを与えてくれます。
その時間は、
一瞬一瞬がかけがえのないものであり、その価値は物質的なものでは計り知れません。

しかし、ペットが亡くなってしまった時、なぜか多くの方は「火葬」をしてお別れをするという選択します。
人はお別れをするにあたり、儀式を済ませあの世に送りだしますが、ペットの場合は人とは違うという認識からか、宗教的に送り出すことがないという風に考えている方も多いのかと思います。

ペット霊園を管理している住職としてはもちろん、同じペットの飼い主としても、人間と同じように葬儀や供養といった丁寧な送り出しをしないのは何故なのか考えてしまうのです。

ペットに対する「法律の解釈」と「感情の矛盾」

日本の民法では、ペットは「物」として扱われています。
これは法律上の取り決めに過ぎませんが、ホームセンターやペットショップにいけば気軽にペットを迎えることができるのを見ると、無意識のうちに「物」としての認識が残っているのだと感じます。

そのような無意識の認識が、愛してやまないペットが亡くなった時に人間と同じ「葬儀・供養」ではなく、「火葬してお骨にする」といった選択肢が生まれやすいのだと思います。
また宗教が絡むと「お金が必要以上にかかる」「勧誘されるのでは?」などといった負のイメージが強いのでしょう。

火葬だけだから愛情がないという訳ではありません。しかし、一種の作業のようにペットの最後を終わらせると、後悔の念に苛まれ、「ペットロス」になる方を多く見てきました。
ペットロスという言葉は、ペットを飼った人しかわからないとても大きい喪失感です。
無償の愛で家族を包んでくれた大事なペットを失うことは、時には人を失う時よりも深いかもしれません。

ペットの供養とは、想いを整理する場でもある

多くの人にとって、家族の一員であるペットの死は受け入れがたい現実です。
ペットは単なる所有物ではなく、私たちの生活に無くてはならない存在の大切な家族です。
ペットが亡くなった時、その存在が与えてくれた喜びや幸せ、時には悲しみや苦しみまでもが人々の心に深く刻まれます。

だからこそ、人間と同じように葬儀や供養を執り行うことで飼い主自身の気持ちの整理をゆっくりと行うことが重要だと考えています

龍泉寺のペット霊園では、ペットが人間と同じように大切に供養され、尊厳を持って扱われることが重要だと考えています。ペットもまた、愛され尊重されるべき存在であり、その命は人間と同様にかけがえのないものです。
愛したペットの最後をどのようにされるかは、飼い主のみが選択できます。共に過ごした最愛のペットを人と同じようにきちんと送り出すことで、飼い主自身の心に「安心(あんじん)」・心安らかな気持ちになれるでしょう。

私たちは、ペットと人が同じように供養されることで、家族としての絆がより深まると信じています。龍泉寺のペット霊園では、ペットが亡くなった後も、その魂が安らかに眠れるよう、心を込めた供養を行っています。

ペット供養に対する信念と誇り

龍泉寺のペット霊園では、ペットの葬儀や供養に対して強い信念を持って運営しています。ペット一匹一匹にそれぞれの生き方があるため、葬儀の際には、ペットの性格やこれまでの生活について必ずお聞きし、少しでもその子を偲ぶ時間を大切にしています。

ペットをただの「物」としてではなく、家族の一員として手厚く供養することを誇りに思っています。そのために、ペットが安らかに眠れるような環境を整え、心を込めた送り出し・心のご供養を行っています。

龍泉寺のペット霊園では、ペットが亡くなった後もその絆を大切にし、供養を行うことで「ものを超えた存在」としてのペットの尊厳を守ります。私たちの使命は、ペットが安らかに眠る場所を提供し、家族とともにその記憶を大切にしていくことです。

ペットの葬儀と法事の違い

お葬式も法事も、亡きペットを偲ぶための供養という点では意味が同じです。

ペット葬儀は、ペットとの別れを惜しみながらも最後の別れを告げ、死後の幸せを祈る(ほとけの世界厳粛な儀式です。

ほとけの世界とは、暑くも寒くもなく、飢え渇きもなく、争いも諍いもなく、清らかで安らかに過ごすさとりの世界と言われています。ペットの葬儀は、お釈迦さまとご縁を結び、亡きペットを そのほとけのさとりの世界に導きます。
そしてこの儀式で、ペットがいつまでも仏さまの覚りの世界ら私たちを見守る存在となるのです。

ペット法事葬儀を行なった後に、仏の世界にいる亡きペットが “ほとけの世界”で安らかに過ごしてもらえるよう、定期的に行う追善供養です。
ペットの法事供養を通して亡きペットを思い出し、その恩徳に感謝する意味合いがあります。

法要の種類

葬儀供養

ペットの葬儀の読経は火葬の前後に本堂、あるいは自宅にて行ないます。ペットの飼い主がペットに想いを伝え、お釈迦さまとご縁を結んで、亡きペット自身がほとけの世界旅立つ重要な法要です。

追善供養

ペットの葬儀を行なった後に行う読経供養で、亡きペットを思い出し、その恩徳に感謝する法要です。当霊園で葬儀をされていない方や火葬のみの方もお申し込み可能です。

火葬供養

火葬の直前に読む読経は葬儀の読経ではなく、ペット自身に死をお知らせし肉体からの別れを告げ、安らかにお眠りくださいと祈る法要です。

納骨供養

納骨の時の読経は、龍泉寺ペット霊園の本尊であるペット観世音菩薩にこれからこのお墓に入るにあたり、永遠にお守りくださいとお願いをする法要です。

合同慰霊供養

ペットの飼い主がそれぞれに集まり、亡きペットを偲び、思い出し、共に時を過ごした期間に感謝する追善法要です。

法要のお申し込み

龍泉寺ペット霊園では火葬の際どの法要を望まれるのかは飼い主様にお決めいただきます。

  • ペットの火葬のみ
  • ペットの供養・火葬
  • ペットの葬儀・火葬

飼い主様がペットとどのように過ごされたか、ペットの死後をどう考えるか?それぞれの考え方があります。
お釈迦さまとのご縁を結ぶかどうかは宗教上の問題もありますので、飼い主様がお決めください。
相談も随時お受けいたしますので、お問い合わせください。

最後に

ペットはただの「物」ではなく、私たちの生活に欠かせない大事な家族の一員です。

大切なペットを送り出す時には、その死を悼み、心を込めて送り出す形を選びましょう。ペットの火葬や供養、葬儀は、人と同じように心を込めて行うことができます。
ペットも家族の一員ですので、別れの儀式も丁寧に行いたいものです。お付き合いのあるお寺や僧侶にもご相談いただくことで、安心して供養や葬儀の準備が進められるでしょう。

龍泉寺のペット霊園では、ペットがその生涯を終えた後も、家族とともにその記憶を大切にし、供養を行うことでその存在を尊重し新たな一歩を踏み出すお手伝いをしています。

私たちはペットと人を同じように扱い、その尊厳を守ることを誇りに思っています。

ペット霊園にお越しいただく皆様にもペットの尊厳を大切にし、その存在がもたらした愛情と絆を忘れずに、共に祈りを捧げていただければと思います。